はじめに|日本にも広がるAI格差
今月11月7日に、以下の記事を投稿しました。
⇒ 【AI時代の羅針盤】学歴に依存しない「生き方・働き方」へ!個人のキャリア変革と具体的備え – Life Stage Navi
この記事は、以下の2025年10月26日付日経記事をきっかけに考察したもの。
⇒ AI猛進の米国、若者の働き口に異変 学位あっても就職難→ブルーカラー選ぶ 覇権狙い開発優先の現実 – 日本経済新聞
その日経記事と連動する、AIが及ぼす働き方の急激な変化の日本版速報。
今日11月16日に掲載されたのが以下です。
⇒ 〈労働臨界〉雇用、日本にもAI格差 NTT「5年後に業務の半分代替」 進む選別、スキル教育急務 – 日本経済新聞 2025/11/16
まず、その内容の要約から本稿を始めます。
1.AI格差による雇用選別の時代:日経記事要約
1)日本企業にも広がる「AIシフトの臨界点」──NTTの判断が象徴する産業構造転換
日本でも、生成AIを中心とした大規模な「AIシフト」が企業の事業戦略レベルで動き出した。
とりわけNTTは、日本企業の中で最も大胆な姿勢を見せている。
島田社長は「5年後には業務の半分以上をAIが代替する」と明言。
これは単なる業務効率化の表明ではなく、企業経営そのものを“AI前提構造”に変える宣言だ。
NTT東西では、すでにコールセンター業務の2〜3割が生成AIに置き換えられ、2027年度以降は担当人数を半減させる計画が進む。
NTTデータでも、エンジニアの設計業務の2割をAIが担い、数年以内に5割に達すると見込むなど、人間とAIが“並列稼働”する体制へ急速に移行している。
AIを「現場のツール」として扱う段階はすでに終わり、経営戦略の中枢にAIが組み込まれる“企業構造変革フェーズに日本企業も入り始めたことが、この記事から読み取れる。
こうした状況は、冒頭にも紹介した、先に公開した以下の記事内で述べたことです。
⇒ 【AI時代の羅針盤】学歴に依存しない「生き方・働き方」へ!個人のキャリア変革と具体的備え – 3ページ目 (4ページ中) – Life Stage Navi
2)広がるAI格差──「AI前提の働き方」への適応が雇用の分岐点に
日経の調査によれば、主要企業でも「5年以内に3〜4割の業務がAIで代替される」と回答する企業が相次いでいる。米国ではAI導入に伴うリストラも始まっており、国際機関も「世界の雇用の4分の1がAIで代替される」と警告する。
すでに日本でも、その影響は静かに表面化し始めている。
・コールセンター求人は前年比19.8%減
・会計・経理の求人も減少
・大企業では派遣社員削減が進む
・AIを理由に新卒採用を減らす企業も増加
つまり、“AIを使う側”に立てる人と、“AIに代替される側”に留まる人の格差が、雇用形態・職種・年代を超えて広がりつつある。
この動きもまた、先述記事第3章で指摘した
「AIの進化は個人のスキル格差ではなく、企業レベルの戦略格差・職務構造格差を生む」
という構造変化を現実のものとして示しています。
3)必要なのは、人間の側の変革──リスキリングと労働移動がカギ
AI活用は必ずしも人員削減に直結しないが、企業は“同じ人数でより高度なアウトプット”を求める方向へ舵を切るのは確実であり、AI導入そのものが「求められる人材像の再定義」を招いている。
日経記事も次の点を強調する:
「AIに補われる人材」から「AIを使いこなし、価値を再創造する人材」への転換が不可避。
これは、先行記事第3章で述べた
“生成AI→超知能AIの時代には、人間がAIと共進化する働き方が主体となる”
という視点と一致しています。
AIが質・量ともにこれまでの技術革新を超えるインパクトを持つ以上、企業・政府・個人のそれぞれが「AI前提社会」の再設計を迫られている。
日経記事は、その現実がすでに始まっていることを、NTTをはじめとする企業事例で明確に示したのです。

それでは、その中から「リスキリング」をテーマとして、考察を続けることにします。
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