結婚新時代の多様な縁社会の出現と婚活:『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー7

LIFE STAGE

現代の結婚を、阪井裕一郎氏著『結婚の社会学』(2024/4刊・ちくま新書)をベースにして考えるシリーズ。
ここまで、マッチングアプリ婚活・デジタル婚活、離婚・シングルマザー化問題、同棲・事実婚、セクシュアルマイノリティ・同性婚などをテーマに進めてきました。
記事末にシリーズのラインアップを掲載しています。

今回は、同書の第2章 結婚の現代史にある「4. 自己責任化する結婚」をヒント、参考に考えてみます。
なお、第2章の構成は、以下の通りです。

第2章 結婚の現代史
1. 日本国憲法と結婚
2. 高度経済成長期の結婚
3. 少子化とジェンダー
4. 自己責任化する結婚
5. マッチングアプリ時代の結婚を考える

言うまでもなく、現代人としての日本人にとっての結婚は、戦後に規定された新憲法における婚姻規定に依拠するものです。
前回の記事の中で、憲法第24条の婚姻規定を取り上げましたが、これは、戦前までの「家制度」「家父長制」に基づく婚姻からの一大転換を達成したものでした。

その後の高度成長期においての「結婚」は、まさに経済成長と歩調を合わせて、従来の「家と地域」との関係に基づく「地縁」型結婚から、職場結婚という「職縁」型結婚への大きなうねりと流れに乗っての形と変貌しました。
結婚して当たり前という「皆婚社会」「皆婚時代」です。

しかし、高度成長期の終焉に伴い、就職氷河期を含む、失われた20年・30年という経済停滞期が進む中、結婚が当たり前にできる時代ではなくなりました。
縮小する経済は、雇用システムに大きく影響を与え、非正規雇用者比率が大幅に増加。
正規雇用の機会を奪われ、加えて賃金が上がらないことで、安定した収入が見込めず、結婚は、希望してもできない時代・社会になったわけです。
ここまでは、概ね、第2章の、1. 日本国憲法と結婚 及び 2. 高度経済成長期の結婚 としてのテーマを少々乱暴ですが辿りました。

しかし、こうした時代の趨勢を現代史の結婚として同書では、扱ってきていたのですが、一般的だった結婚退職や非正規就労化についての論考から、「女性の就労と結婚」という問題に筆者は移行させます。
そこでテーマ化されたのは、3. 少子化とジェンダーです。
そこでは、女性の就労率の高まりと少子化との通説的・通俗的な関係性を批判・否定することが目的だった。
そこでは「ジェンダー平等」が問題の根幹になります。
となると、話は、男性の家事や育児ケア担当という平等実現が課題となり、育児・介護休業制度というまさに現在の重要課題に行き着くことになります。
こうなると「結婚」問題は後回しになり、この項で「少子化」を並列的にあげたことの意味も縮減します。
この流れで行くと、むしろ、非婚化や晩婚化、晩産化を先に提示すべきですが、この項では触れずじまいになってしまいました。

皆婚時代ならば、結婚しない・できないことが奇異の眼で見られた。
しかし、結婚が当たり前の時代では、本来、そうした懸念が払しょくされてもよさそうなもの。
そうは簡単にいかないのが、人間社会の特性というべきか、どうか。

元々は、結婚は、個々人のこと。
他のために結婚するわけではないはずです。
そういう意味では、生き方の選択肢として、結婚する・しないもあるはずです。
しかし、そんなシンプルな考え方が社会と個人に浸透するのはなかなか難しい。


日本の人口減少社会化は、労働人口減少社会化でもあります。
非正規雇用の増加や低成長経済化などと並行しての「少子化社会化」は、より多様な要素・要因の複合化がもたらしたものです。

そしてまた、非婚化や晩婚化を含む、結婚の変化は、雇用や低賃金などの経済的事情が大きな要因となっていることは、種々の調査結果からも示されています。
(参考記事):データで読み解く「ネット婚」時代の結婚事情|出生動向基本調査にみる夫婦の出会いと決断 – Life Stage Navi (2026/1/14)

また、このような議論・論考においては、「格差」問題にも焦点が当てられます。
「経済格差」「所得格差」は「結婚格差」に直結する。

結婚格差には、地方と大都市間の格差も影響し、現実化されているとも言われます。
地方と大都市間の格差には、当然、雇用格差、経済格差が存在する所以です。

言い出せばきりがないですが、地縁・職縁だけを見ると確かに出会いの機会は減ったかもしれないですね。
しかし、その変化に応じた、結婚のあり方や出会いのあり方にも、当然変化が進みつつあります。
そういう意味では、選択肢が広がり、増えている人口減少社会での結婚ではないかとも思います。

「婚活」という用語は、2007年に社会学者の山田昌弘教授と、少子化ジャーナリストの白河桃子が、当時既に定着していた「就活」倣って提唱。
翌2008年に発刊した共著『「婚活」時代』がベストセラーになり、移行定着しました。
就活と並んで「〇〇活動」の代名詞となった後、「保活」「終活」など、ライフステージに沿った活動を象徴する表現方法になっています。
まさに、生活の一部、生活そのものというわけです。

そして、出会いの機会が縮減するに従って拡大を続けてきた婚活ビジネス市場。
婚活の日常化の選択肢としては、無視できないものになっています。
当シリーズの初めに取りあげた、現代の結婚と婚活を語る上で不可欠な、ネット婚、そしてデジタル婚を仕掛ける婚活サービス産業。
元は、結婚相談所という対面での人的サービス事業が、ネット社会、IT社会の進展で、当たり前の社会的インフラの一つになっています。
どんなサービスをどのように活用するか。
有償サービスなので、慎重に選び、行動することが必要ですが、特別の必勝方法があるとは聞いていません。
最後には、やはり自己責任に至ることは間違いないと思います。

もう一つ注目すべきは、ここにきて、地方自治体が主催・企画する婚活支援事業が増えてきていること。
婚活の地域格差、地方と都市部の格差を克服するための手段ですが、根本には、同じ状況での地方の人口減少問題、高齢化社会問題があります。
子育て支援や出産支援と連なる一連の生活支援行政政策に当たり、連続性のある政策は、これからの社会においては非常に重要ですね。
当初の地域間競争が、相互の成長・発展に繋がる施策・政策に進化・発展していくことが理想です。
今後、当サイトでも関心をもって臨みたいと考えています。
具体的な例も、取りあげる予定です。

地縁、職縁、友達縁・兄弟姉妹縁、学校縁、趣味サークル縁、ネット縁、婚活ビジネス縁、自治体支援縁、SNS縁、そして今後どのようにシン化していくかAI縁。
細かい定義は省きますが、要は、現代と近未来には、「縁」の種類、出会いのきっかけや方法多種多様にあるということ。
そこでの違いは、自ら積極的に動くか、受動的に待つか、偶然その機会に遭遇するか。
タイパ、コスパは、やってみての話。
手当たり次第に、種々の出会い機会をつかみにかかるのも、一つに絞り込んで攻めるのも、個人の自由です。
かけることができる時間と費用に、当然個人差がありますが。

結婚に繋がる「縁」の多様化と婚活の多様化。
それぞれへの取り組み方・考え方は人それぞれですが、すべてを婚活ビジネス市場に委ねることには、疑問も感じます。
まず当たり前に考えられるのがSNSの活用。
高齢世代の私が、有効な利用方法や婚活必勝方法を提案できるはずがありません。
情報を自身が主体となって発信する立場。
他の誰かの発信する情報に、自分の意見や主張などを伝える立場。
どちらか、あるいは両方、どちらでも興味関心があるテーマや領域でまさにソーシャルな関係作りになるわけです。

もう一つは、自分自身のメディアを持って、情報を発信する方法です。
費用をかけずに可能なのが、Amebloなどの無料ブログでアカウントを作って、自身の情報発信の媒体・メディアにする。
自分を知ってもらい、理解してもらうための媒体に成長させていくことができればと思います。
もちろんそのメディアで婚活中であることを表現することも可能です。
それが前面に出ると、ブログに興味関心を持ってくれる人も、引いてしまうかもしれないので、自己責任で、運営方法を考えて取り組むことをお薦めします。

これらは、SNS縁やネット縁の形成に貢献し、婚活・結婚に繋がる可能性を多少なりとも持っていると考えます。
もちろん、それが主目的ではなく、発信する情報に、より多くの人が、興味関心を持ってくれる、支持してくれることにあることは言うまでもないですね。

なお、私は無論婚活しているわけではないですが、情報発信媒体として、このサイトを初め、自身の複数のWEBサイトを持っています。
そして、その記事を読んでもらうために、FacebookとXでそのブログをシェア。
Ambloの個人アカウントで、記事紹介を行っています。
WEBサイトには、ドメインの取得と維持、レンタルサーバー、WordPressで活用するためのサイトデザインテーマの購入などに、費用をかけています。
その具体的な費用や業者などについては、機会があれば紹介したいと思っています。

『結婚の社会学』の〇〇の中で、多様性の包摂と結びつけて、著者はこう言っています。
「カミングアウトの必要がない社会」こそわれわれがめざす社会である、と。

SNS社会は、ある意味、自己を主張し、顕示するという側面が極めて強い社会です。
一方、匿名性が、意図的・恣意的に活用あるいは時に悪用もされ、社会問題となっています。
ロマンス詐欺などという手口などその最たるもの。
確かにこうした負の側面の被害に遭わない上でも、自己責任が問われることは理解できます。

婚活と結婚、どちらも多様化した現代、そして近未来。
すべてを自己責任化することは、個人の存在そのものが社会に拠っているのですから、それは、社会との共同と強く結びついていることになります。
言い換えれば、社会との繋がり方を、自分自身が描き、その実現に向けて、必要な判断や選択を行っていく。
婚活も結婚も、その営みに組み入れて、日々臨むことになります。
その生活の場面場面、機会ごとに、自分の考えや意見・感想・主張を、自分なりの方法で発信していく。
文字文章に限ってのことではなく、絵・画や画像や動画も。
手工芸品、ソフトウエア、芸術作品、そしてAIを活用しての何か。
その領域を探り、具体化していくことが、結婚や婚活に繋がることを期待したいですね。
それが可能になる自分の領域の形成に時間を掛けていけるよう、日々の工夫と楽しみ方も。

ただ自己中にならぬよう、自己表現・自己主張だけに終わらずに、相手の理解も絶対に必要です。
婚姻・結婚は、相互理解に基づくもの。
出会いや縁の具体化には、積極的な自己表現・自己主張が実践できなくても、相手の理解から入る、という方法も大切なことと考えます。
こうして、多様な要素・条件を理解し、自分に合った選択をしていくことが、先ずは新しいカップルの形成に繋がる。
そしてそこから、新しい婚活の一形態としての同棲や共同生活の実践、そして事実婚の日常化もあり、に。
それらを含め、新しい結婚の実現に繋がれば、大変うれしいですね。
テーマ書の筆者が述べた、常識を疑う必要もない、多様な結婚のあり方が存在する結婚新時代にあって。

最後は、少々というか、かなりと言うか、抽象的かつ情緒的記述になってしまいました。
少しでもその意を汲み取って頂ければ幸せです。

次回は、当「現代の結婚を考える」シリーズの最後として、『結婚の社会学』の<終章 未来の結婚>を参考に、締めくくりたいと思います。



序 章 「結婚」を疑う
1. 結婚の「常識」を疑う
2. 個人と社会の関係を問う
3. 結婚をめぐる「常識」は変化している
4. あらためて「常識」を疑うことの意義とは?
第1章 結婚の近代史
1. 歴史を見る
2. 見合い結婚と恋愛結婚
3. 家制度と結婚
4. 見合い結婚の時代
5. 創られた伝統
6. 前近代的な結婚の習俗
7. 共同体本位の結婚から家本位の結婚へ
8.「家」と妾
9. 戦争と結婚
10. 公営結婚相談所の誕生
第2章 結婚の現代史
1. 日本国憲法と結婚
2. 高度経済成長期の結婚
3. 少子化とジェンダー
4. 自己責任化する結婚
5. マッチングアプリ時代の結婚を考える
第3章 離婚と再婚
1. 離婚の変遷
2. 家と離婚ー戸籍が汚れる
3. 親権と「姦通罪」
4. ジェンダーの視点で見る離婚
5. 退出と発言
6. 再婚とステップファミリー
7.「普通」から自由になる
第4章 事実婚と夫婦別姓
1. 結婚から分離する出産と子育て
2. 同棲の普及
3. 同棲を選ぶ理由
4. 事実婚とは何か
5. 内縁が多かった戦前日本
6. 事実婚と夫婦別姓のつながり
7. 夫婦の姓をめぐる歴史
8. 夫婦別姓をめぐる対立の整理
9. 夫婦別姓に対する批判
10. 姓をめぐる格闘
11. 自分の望む名前で生きること
第5章 セクシュアル・マイノリティと結婚
1. セクシュアリティをめぐる基本概念
2. LGBTからSOGI(E)へ
3. 異性愛主義社会
4. そもそも「同性婚}?
5. パートナーシップと同性婚
6. 日本におけるセクシュアル・マイノリティ
7. 同性婚の意義
8. あらためて「多様性の包摂」を考える
終 章 結婚の未来
1. 未婚化社会をどうとらえるか
2. 結婚制度はどう変わるべきか?
3. なぜ友だちとは家族になれないのか?
4. 共同生活の常識を疑う
5. ニーズでつながる
6. おわりに

⇒ マッチングアプリ婚活のリアル:デジタル時代の結婚をデータと社会学で読み解く|『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー1 – Life Stage Navi (2026/1/15)
⇒ デジタル化する婚活、これからの期待と不安|『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー2 – Life Stage Navi (2026/1/16)
⇒ 結婚の常識を疑う|生き方の選択肢として結婚を再考する:『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー3 – Life Stage Navi (2026/2/17)
⇒ 離婚が問いかける結婚制度の本質|ひとり親世帯問題から考える「私的福祉世帯社会」:『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー4 – Life Stage Navi (2026/2/18)
⇒ 事実婚の捉え方と同棲のススメ|『結婚の社会学』から考える新しいパートナーシップ:現代の結婚を考えるー5 – Life Stage Navi (2026/2/19)
⇒ 同性婚は日本で認められるのか?パートナーシップ制度と憲法論点を整理する:『結婚の社会学』から、現代の結婚を考えるー6 – Life Stage Navi

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