暮らしの中に潜む“資源リスク”
電気自動車(EV)、風力発電、スマート家電、そして私たちの手元にあるスマートフォン――。これら現代の暮らしを支える技術の多くは、「レアアース(希土類)」と呼ばれる特殊な金属資源に依存しています。
2025年秋、米中間の貿易摩擦が再燃し、中国がレアアースの輸出規制を強化したことで、日本の製造業やエネルギーインフラに深刻な影響が及び始めています。これは単なる外交問題ではなく、私たちのライフスタイルそのものに関わる「静かな危機」です。
レアアースとは何か?暮らしとの接点
レアアースは、ネオジムやジスプロシウムなど17種類の元素からなる希少金属群で、少量で高い磁力や耐熱性を発揮する特性を持ちます。EVの駆動モーター、風力発電機の回転子、スマート家電の高効率モーターなどに不可欠であり、「技術のビタミン」とも呼ばれています。
つまり、レアアースがなければ、私たちの暮らしの“静かな快適さ”は成り立たないのです。
米中摩擦と日本の供給リスク
現在、世界のレアアース供給の約7割を中国が担っており、その規制強化は日本にとって構造的なリスクを意味します。EVや再エネ機器の生産が滞れば、価格上昇や供給遅延が発生し、生活者レベルでも影響を受ける可能性があります。
たとえば、EVの納期が延びる、再エネ設備の導入コストが上昇する、家電の価格が高騰する――こうした変化は、私たちの暮らしの選択肢を狭めることにつながります。
生活者としての対応と意識転換
このような状況に対して、私たち一人ひとりができることもあります。
- 使用済み家電のリサイクルに積極的に参加し、「都市鉱山」の活用を支える
- レアアース使用量を抑えた製品や、再資源化に配慮した設計の製品を選ぶ
- 地域での再エネ導入や資源循環型の暮らしに関心を持つ
これらは小さな行動かもしれませんが、社会全体の資源循環を支える重要な一歩です。
未来戦略と社会構想への接続
この問題をより深く掘り下げ、国家レベルの戦略と思想的な枠組みから考察した記事が、ONOLOGUE2050にて公開されています。
ONOLOGUE2050では、今回のレアアース危機を「制約を起点とした国家デザイン」への転換点と捉え、「シン安保2050」「シン循環型社会2050」「シン・イノベーション2050」といった構想を通じて、資源制約下の未来社会像を描いています。
私たちの暮らしと国家の構想は、決して無関係ではありません。むしろ、生活者の視点からこそ、持続可能な未来の輪郭が見えてくるのではないでしょうか。
この記事はこちらでご覧ください。
⇒ レアアース危機を超えて ― 資源制約国家・日本の戦略的転換 – ONOLOGUE2050

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