石油資源はどこまで依存しているのか|供給網・価格高騰・地政学リスクから見る現代社会の実態
エネルギー源としての石油の重要性に限らず、いわゆる石油由来資源としての有用性。
最近の中東情勢の悪化とその継続で、想定できないほどの重大であることを思い知った昨今。
エネルギー問題・資源問題をシン安保の重要政策課題として以下の2記事で整理したのだが、日常生活への影響の広さと大きさを証明するニュースが毎日のように目と耳に入ってくる。
昨日などは、私たち夫婦が毎朝食べている納豆の包装材が入らなくなり、大手食品メーカーで製造中止にというニュース。
⇒ シン資源安保2050の課題構造と探究視覚|資源確保・循環・備蓄を再設計する国家社会基盤の論点 – ONOLOGUE2050
⇒ 2050年人口1億人社会の重要資源自立モデル|石油由来資源・レアアース・レアメタルが支える産業・生活基盤の再設計 – ONOLOGUE2050

日経で資源・エネルギー関連記事を毎日目にするのだが、今日の朝刊では、あるわあるわ10記事。
リスト化し、それらを要約してみた。
資源・エネルギー記事が示す異常な密度
<2026年5月2日付日経朝刊「資源・エネルギー」関連記事リスト>
1)日豪、レアアースなど開発6事業を優先指定 首脳合意へ – 日本経済新聞
2)2人の「ムハンマド」確執深まる サウジに反発、UAEがOPEC脱退 増産に弾み、日本には恩恵 – 日本経済新聞
3)太陽石油、「サハリン2」のロシア原油を代替調達 – 日本経済新聞
4)首相、ベトナム・豪州へ出発 原油調達に金融支援 「インド太平洋」構想表明へ – 日本経済新聞
5)茂木外相、アフリカ訪問 重要鉱物で技術支援 採掘から製品化まで – 日本経済新聞
6)三菱商事、天然ガスに回帰 中東緊迫、揺らぐ脱炭素 排出量「30年度までに半減」緩和 – 日本経済新聞
7)予備費、来月枯渇の恐れ ガソリン補助膨張 民間試算 激変緩和の出口探す – 日本経済新聞
8)原油の国家備蓄、追加放出を開始 経産省が1日に訂正 – 日本経済新聞
9)アルバック、国内で希土類磁石装置 脱中国依存図る – 日本経済新聞
10)塩ビ、アジア5割高 台湾大手が5月積み提示 – 日本経済新聞
日経10記事から見える資源構造の全体像
<関連記事の整理・要約>
■資源確保・供給網多角化(外交)
1)日豪資源開発:レアアース等の優先開発で対中依存低減と供給網強化
4)首相外遊:ベトナム・豪州と資源・エネルギー調達で連携強化
5)アフリカ外交:採掘から製品化まで一体協力で鉱物供給網を構築
■エネルギー地政学リスク
2)UAEのOPEC脱退:増産期待と価格不安定化リスクが併存
3)ロシア原油調達:中東依存リスク顕在化により代替調達が進行
■企業戦略の転換
6)三菱商事:脱炭素目標を一部緩和し天然ガス重視へ転換
■国内政策対応
7)ガソリン補助:価格抑制のため財政支出拡大、枯渇懸念
8)国家備蓄放出:エネルギー供給不足への緊急対応
■供給構造の再編
9)レアアース装置:国内生産回帰で脱中国依存を推進
■資源価格と産業影響
10)塩ビ価格高騰:原料不足が建設・農業など広範に波及
<総括>
これらの記事から見えるのは、資源確保・供給・価格・産業という全レイヤーが同時に揺れている構造。
外交による調達競争、地政学リスクによる供給不安、企業の戦略転換、政府の市場介入、そして価格高騰の生活への波及。
すなわち、日常生活の背後で動いている巨大な資源システムが、今まさに露出し、大きなうねりとなって流動化しているということに他ならない。
極端な事例としての「行き場を失う原油」
そして、今日同日夕刊1面に、極めつけの以下の記事が。
⇒ イラン原油 行き場失う 日量180万バレル出荷続く 米封鎖の影響で船滞留 – 日本経済新聞
思わず目が点になったこと。
イランの自国産原油が、米国トランプ米政権による海上封鎖の影響で、生産を続けている原油の行き場がなくなり、貯蔵タンクが満杯に。現役引退したタンカーにも積み込み、ペルシャ湾洋上貯留しているとのこと。
そして同国の輸出先の9割が中国であると。
見えなかった輸送インフラの現実が見える化
そういえば、先日は商船三井の石油運搬船が、昨日は出光石油の船が、ホルムズ海峡を通過したというニュースも。
またTVのニュースでもペルシャ湾近辺のタンカー等船舶の停留と動きなど、衛星で把握している情報を頻繁に報道している。
その数の多いこと。
閉鎖していなければ、気にもしないことだが、毎日相当数の石油運搬大型船が航行しているわけだ。
それらが止められていることで、今国内で種々の問題・障害が発生している。

聞けば、東南アジア諸国の中には、電気や石油の消費・販売制限が行われているとか。
日本では、ガソリンを始め、石油由来資源を用いる中間財・消費財の供給停止や価格高騰で、影響は大きい。
しかし、政府が節約や制限を求めるところまでは至っていない。
先の記事リストにもあったが、予備費を湯水のごとく補助金として使っていることで、価格を抑えていることも実はある。
「正常であること」の異常性
いずれにしても、知らないうちに、石油がどんどん掘られ、精製され、運搬され、製品・商品が生産され、そして消費される。
その営みの規模とグローバル・サプライチェーンの大仕掛けさには、マジで驚かされている。
そして、その費消と消費との膨大さ。
これらは、何事もなければ正常なことであるが、ロシア・ウクライナ戦争と中東戦争の影響を考えれば、正常であることそのものが異常なことなのだとも。
記事リストを整理すると見えてくるのが、外交への注力である。
そして、先述した2記事での政策化の視点は、「資源確保(調達)」「資源循環」「代替資源」「備蓄」の4点にあることも、記事リストから読み取ることができるだろう。
是非、関係WEBサイト:ONOLOGUE2050も時々、見てもらえれば。
なお、言わずもがなですが、記事タイトルの「油水」は、正しくは「湯水」です。
油断めさるな、です。



コメント